インタビュー

MARTHA(マーサ) デザイナー 出口氏 MARTHAに至るまで



・第二章 MARTHAの原点 イタリアでのデザインワーク

――アンテプリマではどんな学びを得られたのでしょうか?

まずアシスタントとしてデザイナーの一人について、布帛メインのデザインで。
仕事の流れを説明すると、まずムードボードっていって、要はコレクションのコンセプトを示すボードを作るんですね。
それは、色であったりとか、イメージを表す写真であったりとか、テーマに沿った素材を寄せ集めてくるんです、皆で。
それらをボードにはっていって、それをテーマにしてそれに従って作っていきましょうと。
それが出来た後で、生地・素材の展示会に行くんですね。
パリのプルミエールビジョンっていう世界でも有数の大きな展示会があって、これが年に2回あって、あとはミラノと、そのころはフィレンツェとコモでもあって、
そういう生地の展示会が3、4こあるんですけど、そこにいって、生地をまず選んでくるんですよ。
出張がてらにリサーチもしてきます。
パリではクリニャンクール等の蚤の市やヴィンテージショップ。
サントノレのようなトップブランドの並ぶ地域やコレット、レクレルールといったセレクトショップですね。

――ムードボードは何月くらいに作られるんですか?

ムードボードは、シーズンかぶってるくらいなんで、次の春夏の企画のために、12月末くらいにテーマが出されるんですね。
それがクリエイティブディレクターから出て、それを元に素材集めをするんですけど、ファッションショーも近づいてきてるんでそっちの作業もしながら……
で、2月に生地の展示会があるんで、それまでにムードボードを仕上げるので……1月にですね。

――なるほど。

それで次に生地の展示会場にいって……広大な展示会場に小さなブースがいっぱいあって、なじみのある生地屋から、突然入っていく生地屋もあるし……。
あとテンデンスコーナーがあって生地が展示会のテーマに沿っておいてあったり。そこで生地を見て番号をチェックして気になったところに入っていく。
結構ハードで、手分けしてやって多ければ一日50位のブースまわるんですよ。
ひとつのブースで20~30くらい生地を選んでいく。それから約1ヵ月後くらいに3月中ごろまで位にその生地のスワッチ(生地見本)が会社に届くんですね。
そういう感じで生地がどんどんと集まってくる間にも、土地土地のエージェントに電話をして事務所に来てもらって生地を営業してもらってそこでもまた見る。
そのあいだに、デザインこんな感じでやりたいなって言うのをぼんやり考えたりもするんですけども。

――展示会とかすごい量の生地をご用意されると思いますが、そこからどうやって選ばれるんでしょうか。

そうですね。ハンガーラックみたいなものに生地がかけられていてそこを端から見ていってピックしていくんですね。
で、この生地を送ってくださいっていって事務所に送ってもらって、それが400社くらいのぶんが、4000個くらいの生地スワッチが来るんですよ。
それである程度情報が集まってきたら生地のセレクトをはじめる。
いるものいらないものっていうのを分けていって、どういう構成にしていくか、生地が決まったら今度は色をどうしていくかですね。
大体ひとつの生地に対して色は2色か3色、でそれに対してスタイルが、たとえばジャケットとワンピースとスカートつくろうとかそういう感じでデザインを起こしていくんですね。

――デザインはそこからなんですね。そこからトワールをつくったり?

いえ、まずはサンプルの指示ですね。
デザイン画を持って工場に行ってパタンナーと話しながら相談して。
で、ここはこうしたい、ああしたいっていうのを伝えて向こうがメモを取りながら、サンプルを待ちながら次のデザインを考えるというていう状態ですね。
それから大体一週間から10日くらいでひとつの形に対して出来上がってくるから、それくらいの時期にたとえば10型くらい一気に渡しておいて、
一週間から10日後くらいにまたいったら1回目のサンプルチェック。
大体やってくれるのが、トワールというよりもそこの生地在庫のなかから似寄りの生地とかで大体作ってくれることが多いですね。

――そのときのデザインは出口さんがやられるのでしょうか?

そうですね、皆で決めて。その前にデザインミーティングは何度も何度もやります。
生地や色を決めるだけのミーティングもありますけど、生地決めるときに絵を何型か出して決めるときもあります。
その生地でなにつくるの? ってなったときに、こういうのを考えてますみたいなこともあるので。

――なるほど。

そのあとは生地を決めながら……生地は7割くらい決めておいて後3割くらい余裕を残しておくんですね、いろいろ動けるように。
その生地をまた探しながら、なるべく時期をひきつけてデザインもひきつけてやっていって、デザインミーティングをして
大きいデザインミーティングが1ヶ月に1回か、2ヶ月に1回くらい。
僕は布帛担当でしたけど、あとシューズとバッグとニットの担当がいましたね。

――それは一日中?

はい、一日中ですね。2日にまたがることもあります。
それで各自のアイデアをすりあわせて、じゃあそこのモチーフこっちにも使おうとか、そういうやり取りもやって
実際この服とこの服は合うのか、このニットとこの服は合うのか、この靴とこのワンピースはあうのかっていうのをずっとやっていくわけです。

――なるほど。

サンプルチェックも同じく、基本的には僕らだったら布帛の工場にいって、チェックしてますけども
月に1回か2ヶ月に1回くらいここのサンプル全部貸してくれ!っていって事務所のほうに持っていって。
ニットも香港のニットチームが持ってきて、シューズ、バッグはイタリアの工場から持ってきて、持ち寄って、実際のファーストサンプルで全部でチェックするみたいな。
その時点でスタイリストに同席してもらって、ファッションショーをどういう形にしていくかっていうので、全部の商品を並べてスタイリストが片っ端から見ていって
気になる・使いたいものをピックしていって、であと、そのスタイリストはスタイリストなりにファッションショーをこういう方向にもっていきたいっていうのがあるので
それに対して足りないアイテムであったりとか、そういうリクエストをうけつけて、それをまた形にして……という感じですね。

――どういったスケジュールなのでしょうか。

ファッションショーは春夏で9月末ですね。

――何型くらいご用意されるのでしょうか?

使うモデルは12、3人くらいですけど三回転くらいさせるんで、大体40着くらい。時間的にも11分くらいで終わるのが丁度いいんじゃないかといわれてます。

――思ったより短いですね。

ええ。僕の入った当初は、50とか60とかやってたんですけど、だんだんと流れが短縮して手早く終わらせる方向になっていったんで。
今は40くらいですね。大体。

――コレクション的な派手めのアイテムと、通常展開していくアイテムがありますよね。

基本的には企画の中で、もちろん通常展開していくベースでのアイテムをこっちは考えていってるんですね。
それをやりながら、ファッションショー用っていうのも加えていきます。
それらを合わせながら、スタイリストがこういうものを造って欲しいというオファーを鑑みながら、ファッションショー用にコーディネートして出すという形ですね。
もちろんのそのときによってファッションショー用のアイテムが多いときもあって、そういう時はファッションショー用のアイテム、さあどれを売ろうっていうのはあります。
基本的に買い付け会っていうのがシーズンに3回あるんですね。
それは各地からバイヤーが集まってやるんですけど、はじめの一回目は5月か6月くらいにあるんですよ。
それが早出しの、春夏でいうとクルーズって呼ばれてる商品ですね。梅春……要は12月末から1月に出すような商品ですね。
次にメインのコレクション。これが2回目のデリバリー3回目のデリバリーなんで2月くらいに入る商品と4月くらいに入る商品。
最後にファッションショーのあとで、ショーアイテムのバイイングがあるんですね。
そのときって、ブランドのテーマも前のバイイングのときよりも明確になってるんでコンセプトが……
大体雰囲気がずれてたりもするんでそのときもまた調整して……どう見せていくかを考えていきますね。

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